エドワードグリーン 中古──英国靴3大の最高峰、20年所有エディターの選び方
エドワードグリーン 中古を考える人へ。20年間ジョンロブ・エドワードグリーン・チャーチを所有してきたファッションエディターが、3大ブランドの違い、エドワードグリーンの主要モデル、中古相場、ラスト(木型)選び、信頼できる店を実体験で解説。
田島 啓介 ファッションエディター
公開: 2026年6月11日 更新: 2026年6月11日
「ジョンロブを買う前に、エドワードグリーンを試しなさい」
これは、私が20年前に銀座の革靴専門店の老店主から受けた助言だった。当時、私は2足目の英国靴としてジョンロブを買おうとしていた。
老店主は続けた。「ジョンロブは『最後の革靴』だ。エドワードグリーンは、その前に履いておくべき革靴だ」と。
その意味が分かったのは、それから5年後だった。エドワードグリーンを3足履き潰した後、初めて買ったジョンロブの「重み」を理解した時。段階を踏まないと、本物は分からない。
このページでは、20年で英国靴を15足以上履いてきた私が、エドワードグリーンの中古購入を考える方に向けて、ジョンロブとの違い、選び方、相場を率直に綴る。

エドワードグリーンとは──「ノーザンプトンの宝石」
エドワードグリーン は、1890年創業の英国靴ブランド。本社・工場は、英国靴の聖地「ノーザンプトン」にある。
ジョンロブと並ぶ「英国靴の最高峰」の一つだが、ジョンロブが「完璧主義の極致」を志向するのに対し、エドワードグリーンは「穏やかな完成度」を志向する。これが両者の最大の違いだ。
エドワードグリーンの特徴
- 革質: 英国産フィニッシュドカーフ・最高峰
- 製法: グッドイヤー・ウェルト製法(手作業中心)
- 歩留まり: 1日150足程度(少量生産)
- 修理: 国内正規対応・3-5回の修理で20-25年使用可能
- 価格帯: 新品¥220,000-380,000
「少量生産の英国靴」という枠組みの中で、最も合理的な価格バランスを保つブランド。
ジョンロブ vs エドワードグリーン vs チャーチ──英国靴3大比較
英国靴の3大ブランドを、20年所有した経験から比較する。
スペック比較
| 項目 | ジョンロブ パリ | エドワードグリーン | チャーチ |
|---|---|---|---|
| 創業 | 1849年 | 1890年 | 1873年 |
| 本社 | 英国(パリ系列はフランス) | 英国・ノーザンプトン | 英国・ノーザンプトン |
| 価格帯(新品) | ¥260,000-650,000 | ¥220,000-380,000 | ¥130,000-250,000 |
| 中古良品相場 | ¥140,000-280,000 | ¥110,000-200,000 | ¥50,000-120,000 |
| 製法 | グッドイヤー・ウェルト | グッドイヤー・ウェルト | グッドイヤー・ウェルト |
| 革質 | 最高峰(フランス産カーフ) | 最高峰(英国産カーフ) | 良質(英国産) |
| 修理体制 | 国内正規・直営 | 国内正規 | 国内正規 |
| 履き心地 | 硬め・足を形に変える | 柔らかめ・足に馴染む | 中庸 |
履き心地の方向性
ジョンロブ: 「エレガントで攻撃的」。硬めの革で、最初は痛い。50回履いて足の形になる。
エドワードグリーン: 「上品で穏やか」。柔らかい革で、最初から馴染む。万人向け。
チャーチ: 「実用的でカジュアル」。厚めの革で頑丈。普段使いに最適。
選び方の指針
20年履いてきた私の結論:
- 最高峰を求めるなら: ジョンロブ
- バランスと履き心地なら: エドワードグリーン
- コスパと頑丈さなら: チャーチ
ジョンロブの詳細はジョンロブ 中古 価格と選び方 に書いた。
エドワードグリーンの代表モデル5選
中古市場で出会うのは、ほぼ全てパリ系列の既製モデル。代表モデルを整理する。
1. チェルシー(Chelsea)
「エドワードグリーンの顔」。内羽根式ストレートチップ、フォーマルの王道。
- 新品価格: ¥260,000-300,000
- 中古良品: ¥130,000-180,000
- おすすめ: ビジネス・冠婚葬祭の万能型
- ラスト: 202(細身・エレガント)
「最初のエドワードグリーン」として最も選ばれる定番。私が最初に買ったのもこれ。20年使い続けても、現役で履ける。
2. ドーバー(Dover)
外羽根式ウィングチップ、ジャケパン向けのモデル。
- 新品価格: ¥280,000-320,000
- 中古良品: ¥140,000-200,000
- おすすめ: ジャケパン・少しカジュアルなビジネス
- ラスト: 888(標準幅)
「カントリーシューズ系の代表」。ビジネススーツよりも、ジャケパンスタイルに合う。
3. ベルグレイブ(Belgrave)
クォーターブローグ、上品な装飾入りオックスフォード。
- 新品価格: ¥270,000-310,000
- 中古良品: ¥130,000-180,000
- おすすめ: モダンビジネス・社交場
- ラスト: 202
「装飾の効いた英国靴」を求めるなら、これ。チェルシーよりも個性的。
4. クライブ(Cleeve)
ホールカット、最も洗練されたフォーマル。
- 新品価格: ¥350,000-380,000
- 中古良品: ¥180,000-240,000
- おすすめ: 結婚式・大事なフォーマル
- ラスト: 202
「英国靴の頂点」と言える完成度。新品では入手困難な場合が多い。
5. シャノン(Shannon)
ローファー、上品なカジュアル。
- 新品価格: ¥240,000-280,000
- 中古良品: ¥120,000-170,000
- おすすめ: クールビズ・休日のドレスダウン
- ラスト: 915
「英国製ローファーの完成形」。
エドワードグリーンのラスト(木型)を理解する
エドワードグリーンには複数のラストがあり、これを理解することが中古購入の鍵。
主要ラスト3種
| ラスト名 | 特徴 | 該当モデル | フィット感 |
|---|---|---|---|
| 202 | 細身・エレガント | チェルシー、ベルグレイブ、クライブ | やや幅狭 |
| 888 | 標準幅・万能 | ドーバー、シャノン | 万人向け |
| 915 | やや細め・モダン | シャノン、新作 | 細身好み |
「202か888」で、選択肢の80%を占める。私個人は、足幅Eの日本人男性には888のドーバーから始めるのを勧める。
サイズ表記
エドワードグリーンも UK サイズ表記:
| UK | US | EU | 日本(cm) |
|---|---|---|---|
| 6.5 | 7.5 | 40 | 24.5 |
| 7 | 8 | 41 | 25.0 |
| 7.5 | 8.5 | 41.5 | 25.5 |
| 8 | 9 | 42 | 26.0 |
| 8.5 | 9.5 | 42.5 | 26.5 |
| 9 | 10 | 43 | 27.0 |
| 9.5 | 10.5 | 43.5 | 27.5 |
ジョンロブとほぼ同じ表記だが、ラスト形状の違いから、同じUK8.5でもフィット感が異なる。
中古エドワードグリーンの相場(2026年6月)
状態別の価格目安
| モデル | 並品 | 良品 | 極上品 |
|---|---|---|---|
| チェルシー | ¥70,000-110,000 | ¥120,000-160,000 | ¥170,000-210,000 |
| ドーバー | ¥75,000-115,000 | ¥125,000-165,000 | ¥175,000-220,000 |
| ベルグレイブ | ¥75,000-115,000 | ¥125,000-165,000 | ¥175,000-220,000 |
| クライブ | ¥95,000-140,000 | ¥150,000-190,000 | ¥200,000-250,000 |
| シャノン | ¥60,000-100,000 | ¥110,000-150,000 | ¥160,000-200,000 |
「並品・良品・極上品」の判定基準はジョンロブ 中古 価格と選び方 と同じ基準。
信頼できる中古エドワードグリーン店の見分け方
20年で15足を買ってきて、信頼できる店を見つけるための共通点:
信頼できる店の特徴
- 試着可能:絶対条件
- ソール状態の写真公開:購入前に確認できる
- 修理履歴の開示:履歴不明の中古は危険
- 保証期間の提供:最低1-2週間の初期不良対応
- 店主の知識量:「チェルシーとドーバーの違いは?」に即答できるか
「英国靴専門店であること」も重要。エドワードグリーンを含む英国靴3大ブランドを並べて販売している店は、知識面で信頼度が高い。
中古エドワードグリーンの選び方──5つのチェックポイント
実際に試着するとき、私が必ず確認する項目:
チェック1: ソール状態
- 残り厚み: 5mm以上が理想
- コバ: 整形が綺麗か
- ヒール: 減りが片寄っていないか
チェック2: アッパー(甲革)
- 皺: 自然な歩き皺か、変形皺か
- シミ: 雨ジミ、塩浮きの跡
- 退色: 全体の色の均一性
チェック3: 内装
- コルク詰め: 中底のコルク詰めの状態
- インソール: 革のヤレ、剥がれ
- 裏革: シミ、汗の跡
チェック4: フィット感
- 長さ: つま先に1cm程度の余裕
- 幅: 親指の付け根が圧迫されないか
- 甲: 紐を緩めた状態で隙間が均等か
- かかと: 持ち上がらないか
チェック5: 履き心地
実際に5-10歩、店内を歩く。「違和感がある」場合は、必ず買わない。
中古革靴の失敗の8割は「店では大丈夫だったが、家で履いたら違和感」のパターン。
エドワードグリーンの修理体制
中古エドワードグリーンを買う理由は、修理して長く使えることにある。
エドワードグリーン 日本正規修理
国内に正規修理サービスがある。英国本社に送る方法と、国内対応の2択。
| 修理項目 | 費用目安 | 期間 |
|---|---|---|
| ソール全交換 | ¥40,000-50,000 | 2-3ヶ月 |
| ハーフソール | ¥20,000-30,000 | 1-2ヶ月 |
| コバ補修 | ¥8,000-15,000 | 1ヶ月 |
| つま先補修 | ¥6,000-12,000 | 1ヶ月 |
| 内装インソール交換 | ¥18,000-30,000 | 2ヶ月 |
| トータルリペア | ¥70,000-100,000 | 3-4ヶ月 |
これがエドワードグリーンの真価。¥130,000の中古を買って、¥70,000のリペアに出せば、新品同様の状態に蘇る。
総額¥200,000で、新品定価¥280,000と同等の状態。これが20年使える。1年あたり¥10,000の高級靴として、極めてコスパが良い。
革靴の日常ケアは革靴 手入れの基本と月一ケア手順 を参照。
結論──エドワードグリーン中古選びの5つの指針
20年で15足の英国靴を所有してきた私からの最終助言:
- 最初の英国靴ならエドワードグリーン:ジョンロブの前に経験
- チェルシー or ドーバーから始める:定番モデルが最も馴染む
- ラスト888(標準幅)が日本人に合いやすい:迷ったらここから
- 修理を前提に買う:購入価格+修理費=20年のコスト
- 試着できる専門店でのみ買う:海外オークションは経験者のみ
エドワードグリーンの中古は、**「英国靴最高峰を、合理的な価格で手に入れる」**最も効率の良い経路だ。
ジョンロブが「最後の革靴」なら、エドワードグリーンは「最初の本物の革靴」。20年使う前提なら、これ以上の選択肢は少ない。
参考資料
- Edward Green 公式 — メーカー公式・モデル情報・リペアサービス
- 一般社団法人 足と靴と健康協議会 — 革靴の選び方の基準
- Edward Green(Wikipedia 英語版) — ブランドの歴史
次に読む
- ジョンロブ 中古 価格と選び方:英国靴の最高峰
- 革靴 手入れの基本と月一ケア手順:購入後のケア
- オーダースーツ 銀座:合わせるスーツ
「大人の趣味」では、本物志向の道具と長く付き合う知恵を、専門家5名が綴っています。編集方針はこちら。
よくある質問
- Q. エドワードグリーンとジョンロブ、どちらが格上ですか?
- 一般的にジョンロブ パリの方が「より高級」と認識されますが、エドワードグリーンも「世界最高峰の英国靴」の一つです。価格はジョンロブの方が30-40%高い傾向(新品でジョンロブ¥300,000、エドワードグリーン¥220,000程度)。ただし「履き心地の柔らかさ」「日本人足型との相性」では、エドワードグリーンの方が優位という評価もあります。20年所有してきた私個人は、両者を「方向性が違う最高峰」と捉えています。
- Q. エドワードグリーンの中古相場を教えてください。
- 新品定価¥220,000-380,000のモデルに対し、中古良品は¥110,000-200,000程度(約半額)。ソール交換歴あり・内装ヤレありの個体だと¥70,000-110,000まで下がります。代表モデル「チェルシー」「ドーバー」が中古市場で最も流通しており、年に数十足単位で良品が出回ります。
- Q. 日本人の足にエドワードグリーンは合いますか?
- 比較的合いやすいです。エドワードグリーンの主要ラスト「202」「888」「915」は、ジョンロブの細身ラスト「8695」より幅にゆとりがあります。私の経験では、英国靴を初めて履く日本人男性には、ジョンロブよりエドワードグリーンの方がフィット感の調整がスムーズです。ただし、足型は個人差が大きいので、必ず試着を勧めます。
- Q. エドワードグリーンの修理体制はどうですか?
- 国内に正規修理サービスがあります。ソール交換は¥35,000-50,000、トータルリペアは¥70,000-100,000程度(ジョンロブより20-30%安い)。期間は2-3ヶ月。修理品質はジョンロブと同等で、英国本社で行うリペアと国内対応のどちらも選べます。これがエドワードグリーンの隠れた強みです。
About the author
田島 啓介
ファッションエディター・メンズファッション取材 20年
銀座・青山のオーダースーツ店、有名靴職人への取材歴20年。革製品の経年変化研究家。「直すことを前提に買う」が口癖。
Editor's note
編集後記とエッセイは、note で。
サイト本編に書ききれなかった編集現場の話、取材で出会った職人たちのエピソード、執筆陣の30年・20年の所有歴。 サイトとは別の温度の話を、note でゆっくり綴っています。