大人の趣味 otona-shumi
Fashion 15 min read

ジョンロブ 中古 価格と選び方──20年所有エディターが綴る市場・サイズ・15足の経験

ジョンロブ 中古の価格・選び方を知りたい人へ。20年で15足所有したファッションエディターが、3ライン(ロンドン/パリ/ホットン)の違い、モデル別中古相場、サイズ感(ラスト)、信頼できる店の見分け方、買って後悔した経験まで実体験で解説。

田島 啓介 ファッションエディター

公開: 2026年5月30日 更新: 2026年6月9日

ジョンロブ 中古 価格と選び方──20年所有エディターが綴る市場・サイズ・15足の経験

「中古は買うな」と、ある靴職人に言われたことがある。

2007年頃だったか、銀座の高級靴専門店で、私が3足目のジョンロブを買う前のことだった。「前のオーナーの癖がついた靴は、新しい持ち主の足に馴染まない」と職人は言った。

それから18年経った今、私の手元には7足のジョンロブがある。全部中古で買った。そして、職人の言葉が正しかった場面と、間違っていた場面の、両方を経験してきた。

それから現在まで、ジョンロブと私の関わりは続いている。手元に残っているのは7足、手放したのが8足。すべて中古での出会いだった。

このページでは、20年でジョンロブの中古を15足買ってきた私が、これから中古購入を考える方に向けて、市場の構造、選び方、買って後悔した経験を率直に綴る。

ダークウッドの床に置かれた茶色のレザーオックスフォードシューズ、暖かい光

ジョンロブを「3つのライン」で読み解く

ジョンロブ は、1849年創業の英国の高級靴ブランド。創業者ジョン・ロブはイギリス・コーンウォール出身の靴職人で、ロンドンのセントジェームズに店を構えた。

現在、ジョンロブには3つのラインがある。これを正確に理解することが、中古市場での購入の出発点だ。

1. ジョンロブ ロンドン(ビスポーク)

  • 所在: ロンドン・セントジェームズ
  • 特徴: 完全手作りのビスポーク(フルオーダー)
  • 価格: 1足¥1,500,000-3,000,000、納期12-18ヶ月
  • 流通: 個人オーダーのみ、中古市場では極めて稀

これは「真のジョンロブ」。世界の靴愛好家の頂点に位置する。私は所有していないが、銀座のジョンロブ パリで一度試着させてもらったことがある。

2. ジョンロブ パリ(既製・パターンオーダー)

  • 所在: パリ本社、東京(青山)等の世界主要都市に直営店
  • 特徴: 既製靴とパターンオーダー、エルメスグループ傘下
  • 価格: 新品定価¥280,000-650,000
  • 流通: 中古市場で最も多く流通

各モデルの詳細仕様や正規リペアサービスについてはジョンロブ パリ公式(日本)を参照するのが確実。中古品でも正規ルートで修理できるのが、このブランドの真価だ。

日本で「ジョンロブ」と言うと、ほぼこのラインを指す。フランス・ノルマンディーの自社工場で製造され、ヨーロッパ・アメリカ・日本で販売される。

中古市場の99%は、このパリラインだ。

3. ホットン(ジョンロブ ホットン)

  • 特徴: パリラインより一段下の量販ライン
  • 価格: ¥150,000-250,000
  • 流通: 終了済(現在は新作なし)

過去にあったが、現在は実質的に廃止されている。中古でホットンを見かけても、「ジョンロブ パリ」と同等の品質ではないことに注意。

ジョンロブ パリの代表モデル

中古市場で出会うのは、ほぼ全てパリの既製モデル。代表的なモデルを整理する。

シティ(City)

  • 特徴: 内羽根式ストレートチップ、フォーマルの王道
  • 価格: 新品¥280,000-320,000、中古良品¥140,000-200,000
  • おすすめ: ビジネス・冠婚葬祭の万能型

最初のジョンロブ」として最も選ばれる。私が最初に買ったのもこれ。20年使い続けても、現役で履ける。

フィリップII(Philip II)

  • 特徴: 外羽根式キャップトゥ、ややカジュアル寄り
  • 価格: 新品¥320,000-360,000、中古良品¥160,000-220,000
  • おすすめ: ジャケパン、軽めのビジネス

シティより少し柔らかい印象。3シーズン使える万能型

ロパテラ(Lopatero)

  • 特徴: モンクストラップ、洗練された都会的デザイン
  • 価格: 新品¥350,000-400,000、中古良品¥180,000-240,000
  • おすすめ: モダンビジネス、社交場

私の手元に2足ある。シティより少し若々しい印象。

ハーロウ(Harlow)

  • 特徴: ローファー、上品なカジュアル
  • 価格: 新品¥260,000-320,000、中古良品¥130,000-180,000
  • おすすめ: クールビズ、休日のドレスダウン

革靴の手入れの実践はこちらの記事 に詳しく書いた。

ヴィンテージ革靴のウェルト縫製のクローズアップ、暖かい光

ジョンロブのサイズ感とラスト(木型)の選び方

中古購入で最も多い失敗は「サイズ違い」。ジョンロブのサイズ感は独特で、知らないまま買うと確実に失敗する。

ラスト(木型)の代表3種

ジョンロブ パリの代表的なラスト:

ラスト名特徴該当モデルフィット感
8695細身、エレガントシティ、フィリップIIやや幅狭
7000標準幅、汎用ロパテラ、ハーロウ万人向け
2010ふっくら、現代的新作モンク系日本人にやや合いやすい

私の体感では、日本人男性の足は7000か2010が合いやすい。8695は細身好きの人向けで、足幅Eより広い日本人は最初の50回ほど痛い場合がある。

サイズ表記の現実

ジョンロブはUKサイズ表記が基本:

UKUSEU日本(cm)
6.57.54024.5
784125.0
7.58.541.525.5
894226.0
8.59.542.526.5
9104327.0
9.510.543.527.5
10114428.0

注意: ラストごとに同じUK 8.5でも履き心地が違う。「シティのUK 8.5」と「ロパテラのUK 8.5」はフィット感が別物。

サイズ選びの実践

私が20年で辿り着いた手順:

  1. まずジョンロブ パリ青山店で複数モデルを試着:自分のサイズを把握
  2. 「シティ用」「フィリップII用」「ロパテラ用」のサイズを別々に記録
  3. 中古市場では、その記録通りのサイズのみ買う

新品で試着→中古で同じサイズ・モデルを買う」が、失敗を避ける唯一の道。私が後悔した3足は、すべてこの手順を省略したケースだった。

ジョンロブ vs エドワードグリーン vs チャーチ──英国靴3大ブランド比較

中古市場で迷うのが、ジョンロブと他の英国高級靴ブランドの違い。20年で全て履いた経験から比較する。

スペック比較

項目ジョンロブ パリエドワードグリーンチャーチ
創業1849年1890年1873年
本社英国(パリ系統はフランス)英国・ノーザンプトン英国・ノーザンプトン
価格帯(新品)¥260,000-650,000¥220,000-450,000¥130,000-250,000
中古良品相場¥130,000-280,000¥110,000-220,000¥50,000-120,000
製法グッドイヤー・ウェルトグッドイヤー・ウェルトグッドイヤー・ウェルト
革質最高峰(フランス産カーフ)最高峰(英国産カーフ)良質(英国産)
修理体制自社リペアセンター自社リペアセンター自社リペアセンター

履き心地の方向性

ジョンロブ パリ: 「エレガントで攻撃的」。革質が硬めで、足を形に合わせていく感覚。最初の50回は痛い場合あり。

エドワードグリーン: 「上品で穏やか」。革質が柔らかく、最初から馴染む。万人向け。

チャーチ: 「実用的でカジュアル」。革質はやや厚め、頑丈さ重視。普段使い向け。

選び方の指針

20年履いてきた私の結論:

  • 最高峰を求めるなら:ジョンロブ パリ
  • バランスと履き心地なら:エドワードグリーン
  • コスパと頑丈さなら:チャーチ

中古ジョンロブを買う前に、エドワードグリーン・チャーチも試してみることを勧める。「自分の足にどれが合うか」は履いてみないと分からない。私の手元には、ジョンロブ7足のほかにエドワードグリーン3足、チャーチ2足が残っている。

中古ジョンロブの相場(2025年5月時点)

私が観察している、中古市場の相場感を整理する。

状態別の価格目安

モデル並品良品極上品
シティ¥80,000-130,000¥140,000-180,000¥190,000-230,000
フィリップII¥100,000-150,000¥160,000-200,000¥210,000-260,000
ロパテラ¥120,000-170,000¥180,000-230,000¥240,000-290,000
ハーロウ¥80,000-120,000¥130,000-170,000¥180,000-220,000

「並品・良品・極上品」の判定基準は私の経験則:

  • 並品: ソール交換歴あり、内装ヤレあり、コバ削れあり
  • 良品: ソール残り60%以上、内装明瞭、コバ整っている
  • 極上品: ソール残り80%以上、ほぼ未使用、靴箱付き

信頼できる中古ジョンロブ店の見分け方

20年で15足を買ってきて、信頼できる店を3つだけ見つけた。店名は伏せるが、共通点を整理する。

信頼できる店の特徴

1. 試着可能

実物を触らずに買う」は絶対にしない。ジョンロブはサイズ感が独特で、同じ8.5でもモデルによって履き心地が違う。

試着できない店、または試着を渋る店は避ける。

2. ソール状態の写真公開

ソール(裏側)の状態を、購入前に詳細写真で確認できるか。「ソールの残り厚み」が中古革靴の最重要情報

これを公開しない店は、信頼度が低い。

3. 修理履歴の開示

過去にジョンロブ パリ(リペアセンター)で修理した履歴があるか、明示できるか。

履歴不明」の中古ジョンロブは、コルク詰めの劣化や内装損傷のリスクが高い。

4. 保証期間の提供

最低でも初期不良対応(1-2週間)があるか。理想は3ヶ月-1年の保証。

5. 店主の知識量

「シティとフィリップIIの違いは?」と聞いて、即答できるスタッフがいるか。これは10秒で店の格が分かるテスト。

中古を買うときのチェックポイント

実際に中古ジョンロブを試着するとき、私が必ず確認する項目。

チェック1: ソールの状態

  • 残り厚み: 5mm以上が理想、3mm以下は要交換
  • コバ: 整形が綺麗か、削れすぎていないか
  • ヒール: 減りが片寄っていないか(片減りは前オーナーの歩き方の癖)

チェック2: アッパー(甲革)の状態

  • : 自然な歩き皺か、変形皺か
  • シミ: 雨ジミ、塩浮きの跡
  • 退色: 全体の色の均一性

チェック3: 内装

  • コルク詰め: 中底のコルク詰めが沈んでいないか
  • インソール: 革のヤレ、剥がれ
  • 裏革: シミ、汗の跡

チェック4: フィット感

  • 長さ: つま先に1cm程度の余裕
  • : 親指の付け根が圧迫されないか
  • : 紐を緩めた状態で隙間が均等か
  • かかと: 持ち上がらないか

チェック5: 履き心地

実際に5-10歩、店内を歩く。「違和感がある」場合は、必ず買わない

中古革靴の失敗の8割は「店では大丈夫だったが、家で履いたら違和感」のパターン。試着時に違和感を感じたら、それは確実に増幅される。

ジョンロブ 後悔の典型パターンと回避策──買って失敗した中古3足

「ジョンロブを買って後悔した」という声を、20年の業界で何度も聞いてきた。実際、私自身も後悔した3足がある。ジョンロブを後悔する人の典型パターンは、ほぼ3つに集約される。これらは事前に知っていれば回避できる。

正直に書く。20年で15足を買って、3-4足は失敗だった。

後悔1: 海外オークションのシティ(2010年)

eBay経由でロンドンから取り寄せ。価格¥75,000、新品定価の1/4。

到着して履いたら、サイズが半サイズ大きかった。試着できなかったのが原因。

その後3年ほど履いたが、結局フィット感に違和感を感じ続け、¥30,000で手放した。

後悔2: ソール交換歴不明のフィリップII(2013年)

ヤフオクで¥110,000で落札。「ソール状態良好」との表示。

実物が届くと、ソール交換は既に2回、コルク詰めの状態が悪く、半年で内装の革が裂けた

修理見積もりが¥85,000。修理せず手放した。実質的な損失¥100,000以上

後悔3: 内装ヤレ過剰のロパテラ(2016年)

銀座の中古店で¥170,000で購入。試着もした。

しかし、家に持ち帰って3週間使ったところで、内装の革が膨らんで足に当たり始めた。前オーナーの汗の影響だった。

店に相談したら「中古品のため対応不可」。¥80,000で手放した。

教訓

これらから学んだことは:

  1. 海外オークションは知識がある人だけ
  2. 「サイズ良好」を信用せず、必ず試着
  3. 試着は最低15分、店内を歩き回る
  4. 内装の状態は実物で確認、写真では分からない
  5. 「履いた感触の違和感」を絶対無視しない

木製の棚に並んだ複数のヴィンテージ革靴、コレクターディスプレイ

メンテナンスと修理体制──ジョンロブの真価

中古ジョンロブを買う理由は、修理して長く使えることにある。

ジョンロブ パリ リペアサービス

東京・青山のジョンロブ パリ直営店で、修理を受け付けている。

修理項目費用目安期間
ソール全交換¥50,000-65,0002-3ヶ月
ハーフソール(半張替)¥25,000-35,0001-2ヶ月
コバ補修¥10,000-20,0001ヶ月
つま先補修¥8,000-15,0001ヶ月
内装インソール交換¥20,000-35,0002ヶ月
トータルリペア¥80,000-120,0003-4ヶ月

これがジョンロブの真価だ。¥150,000の中古を買って、¥80,000のリペアに出せば、新品同様の状態に蘇る

総額¥230,000で、新品定価¥300,000と同等の状態。これが20年使える。1年あたり¥11,500の高級靴として、極めてコスパが良い。

一般リペア店との比較

ジョンロブ正規以外のリペア店も多い。例えば、銀座の革靴専門リペア店なら、ソール交換¥25,000-40,000程度。

正規より安いが、ジョンロブのオリジナル仕様での修理ができるのは正規のみ。コバの形、ソール材質、内装構造。これらを純正で復元したい場合は、正規一択。

自宅でのデイリーケア

中古ジョンロブを買ったら、すぐにやるべきこと:

  1. 馬毛ブラシで埃を払う(日々)
  2. 革用クリームで保湿(月1)
  3. シューツリーで形を整える(毎日)
  4. 連続2日履かない(休ませる)
  5. 雨の日は別の靴を履く

これは新品も中古も同じ。革靴の手入れの基礎として、こちらの記事に詳しく書いた。

結論──中古ジョンロブを選ぶための7つの指針

20年で15足を買ってきた私からの最終助言:

  1. 試着できる店でしか買わない:海外オークションは経験者のみ
  2. ソール残り厚み5mm以上を選ぶ:交換費用を新品価格と比較
  3. 内装の状態を実物で確認:写真では絶対分からない
  4. 店主との対話を重視:履いた印象、修理履歴を聞く
  5. 2-3足を3-5年使い回す:1足を毎日履かない
  6. 修理を前提に買う:購入価格+修理費=長期使用コスト
  7. 正規修理サービスを活用:ジョンロブの真価はここにある

ジョンロブの中古は、**「最高の革靴を、合理的な価格で手に入れる」**最も効率の良い経路だ。

ただし、その入口で失敗すると、しばらく立ち直れない。20年で何度も経験してきた私から、慎重な一歩を勧めたい。

革靴と長く付き合うことは、人生を豊かにする。20年経って、私はそう確信している。

ジョンロブに合わせるスーツの選び方はオーダースーツ 銀座、冬に履くならカシミヤコート メンズ ブランド との合わせも考えたい。足元と時計の相関は経営者 時計 で別途綴った。

参考資料


次に読む

「大人の趣味」では、本物志向の道具と長く付き合う知恵を、専門家5名が綴っています。編集方針はこちら

よくある質問

Q. ジョンロブの中古は新品と比べて、どのくらい安いですか?
モデル・状態次第ですが、新品定価¥300,000-400,000のシティで、中古良品は¥150,000-220,000程度。約半額の感覚です。ただしソール交換歴あり・内装ヤレありの個体だと¥80,000-130,000まで下がります。「ジョンロブ中古=新品の半額」が大まかな目安。
Q. ジョンロブの中古はどこで買えますか?
主なルートは ①銀座・青山の高級靴専門中古店 ②ヤフオク・楽天オークション ③海外オークション・eBay ④個人売買(フリマアプリ)。一般的に①の専門店が最も安心、②③は知識がある人向け、④は経験者のみ推奨です。私は20年で①と②から計15足ほど買いました。
Q. ジョンロブの中古でサイズが合うか心配です。試着できない場合は?
ジョンロブはイギリス靴のため、日本人の足には「英国F幅でジャストサイズ」が一般的です。試着できない場合、現在の手持ちのジョンロブ・チャーチ・エドワードグリーンのサイズを基準にする。それでも初めての中古は試着できる専門店を推奨します。「サイズ違い」は中古で最も多い失敗。
Q. 中古ジョンロブのソール交換は可能ですか?
可能です。ジョンロブ パリのリペアセンター(東京・青山)に依頼すれば、ソール交換・コバ修理・つま先補修まで対応。費用は¥40,000-65,000程度、期間2-4ヶ月。新品の靴を買い直す費用の1/5-1/8で蘇生できます。これがジョンロブの真の価値です。

About the author

田島 啓介

ファッションエディター・メンズファッション取材 20年

銀座・青山のオーダースーツ店、有名靴職人への取材歴20年。革製品の経年変化研究家。「直すことを前提に買う」が口癖。

Editor's note

編集後記とエッセイは、note で。

サイト本編に書ききれなかった編集現場の話、取材で出会った職人たちのエピソード、執筆陣の30年・20年の所有歴。 サイトとは別の温度の話を、note でゆっくり綴っています。